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2015.11.30

映画「かもめ食堂」の感想

友人から前々から薦められていた邦画「かもめ食堂」を、
ようやくDVDで観賞しました。

といっても、観てからしばらく経っているので、
どう感想を書いて良いやら、迷うこと数分。

ネットでレビューを読んで回ったりしたんですが…。かなりの人気作なんですね。
評価もけっこう高い。

しかし、素直に良い映画だと、
今ひとつ浸りきれなかったんです。

こういう映画に多くの人たちがオアシスを求めているということは、
つまり、時代が相当に病んでいることになるわけで。


かもめ食堂」は2005年の制作、06年に公開。
監督は「バーバー吉野」や、「恋は五・七・五!」の荻上直子。
出演は、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ

(物語設定)
フィンランドのヘルシンキにサチエが開いた“かもめ食堂”を舞台に、
3人の日本人女性とフィンランドの人々とのゆるやかで温かい流れが描かれる。

まったり、ゆったりとした空気感は、
観る人を優しく包み込んでくれます。

ふんわり感が漂っていて、しばし、うっとりとして心地よい世界に…。

エンディングテーマ、井上陽水の「クレイジーラブ」も良かったです。

日本初のオールフィンランドロケで話題を呼びました。
当初は東京と横浜の二館だけでの上映でしたが、
多くの映画館でロングラン上映を記録したとのこと。

しかし、どうしても、こういう映画には浸りきれないんですね。

というのは、こういうミニシアター系にありがちな作風は、
しばしば、ハリウッド映画の反語として語られます。

事件らしい事件も起きず、淡々と映像が流れて行って、
そこには何ともしれない、静かで温かい情感が漂っている…。

でも、ただ、それだけなんですね。

こういう映画に、多くの人が飛びついたということは、
そうとうに時代が病んでいて、人々も疲れきり、
渇ききった心が水分を発作的に求めているという、
一種の異常現象であると想われます。

フィンランドでロケしたということですが、
ということは、日本での日常時間はバッサリ切り落とされていることであり、
つまり、舞台は架空の切り離されたメルヘンということでしょう。

こういう手法だと、映像宇宙を詩化したり、純化したりすることは容易になるけれども、現実を変える力は持たないわけで…。


時代が夢と希望にあふれていたら、
こういう癒し系映画は流行りません。

この映画に出てくる登場人物は、全員が孤独です。
食べ物を媒介として、心温まる交流をしているのですが、
それは、孤独の深さの証明でもあるわけです。

だから、こういう映画を観て、
ゆったりとした気分になれて、すごく心地よかった、
(確かに、私もそう感じていたんですが)
素直に、そう言えないのは、
時代の病的なまでの乾燥性を想起するからです。

人々はどうしようもなく、渇いている。
精神の砂漠化などという陳腐な言葉では言い尽くせないほど、
心が疲れ切っている。

だから、あくせくしなくて良い「かもめ食堂」的世界に、
束の間の安寧を求めてしまう。

商業主義的な売り方をしてないのに、
すごくヒットしたんだよ、
質の良い映画だったからだよ、良かったね、
では済まされない、何かを感じてしまう映画でした。

この映画に限らず、
東京のミニシアターで封切られる「癒し系」の映画は、
ほとんど満席で入れない状態なんですよ。

見に行くと、いつも人が多すぎて、うんざりするほどです。

こういう映画に癒されるようだと、
かなり危険な状態だと思えてなりません。

かなり、ひねくれた語り方になってしまいましたが、
こういう映画で、温かい気持ちになれたとは、
どうしても、素直に言えないんです。
09:57 | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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